ウクライナのゼレンスキー大統領が20日午後、来日した。21日には広島市で開催中の先進7カ国首脳会議(G7サミット)に対面で参加し、G7首脳とサミットに招待された新興・途上国「グローバルサウス」首脳らを交えた「平和と安定」に関する会合にも出席。G7との結束を誇示し、支援の継続と強化を呼び掛ける。ウクライナ侵攻を続けるロシアをけん制し、近く想定される反転攻勢の成功へ弾みをつける狙いもある。
ゼレンスキー氏の来日は2019年10月に行われた天皇陛下の即位の礼参列以来で、22年のロシアによる侵攻開始後では初めて。
ゼレンスキー氏は広島市で岸田文雄首相と個別に会談するほか、バイデン米大統領らG7首脳とも直接協議する見通し。対ロシア制裁強化への謝意を示すとともに、ウクライナ側が強く要望する米国製戦闘機F16供与についても、踏み込んだ協力を求めるとみられる。
欧米メディアなどによると、ゼレンスキー氏はウクライナの隣国ポーランド南東部ジェシュフの空港からフランス政府機で出発。19日にアラブ連盟首脳会議が開かれたサウジアラビア西部ジッダに立ち寄った。会議での演説では、ロシアとの関係が深いアラブ首脳らに侵攻の不当性を訴えたほか、ロシア・ウクライナの調停に意欲を見せるサウジの実力者ムハンマド皇太子とも会談。同日中に日本へ向かった。
岸田首相は今年3月、G7首脳としては最後に戦時下のウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪れてゼレンスキー氏と会談した。ゼレンスキー氏は広島サミットにオンラインで参加する予定だったが、日本政府によると「対面参加への強い希望が(ウクライナ側から)表明され、サミット全体の議題や日程を慎重に検討」した上で、来日の運びとなった。