カナダ・ビショップス大学に在籍する先住民族の学生7人が、18日に白老町入りし、19日に白老アイヌ協会の山丸和幸理事長らと懇談、意見交換した。学生と同大職員3人はカナダ政府が支援する海外派遣プログラムを活用して9日に来日。21日まで白老町に滞在した後、平取町などを訪れ、26日に帰国する予定。
一行は、カナダの先住民イヌイットやクリー族、モホーク族などにルーツを持つ学生らで、それぞれ教育学や社会学、法学、医学などを専攻している。北方地域の先住民族という共通性や違いを学び、植民地支配を経ながらも受け継がれてきた伝統文化の在り方などに強い関心を寄せる。
京都や札幌での旅を楽しんだ後、18日午後に白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)を見学。体験交流ホールで伝統芸能「シノッ」を鑑賞するなどした。19日午後に町中央公民館で開かれた交流会では、同館カフェのピラサレでオハウ(具だくさんの汁物)を食べた後、別室で山丸理事長と懇談した。
山丸理事長は、学生の質問に答える形でアイヌ文化の現状について説明。「言葉や文化伝承を禁止されても、静かに守り育ててきた人たちがいたおかげで現代にアイヌ文化が花開きつつある」と述べた。一方で、奪われた言葉や歴史を学校で教える制度になっていないことや国際的に認められている先住権や自治権が認められていないこと、アイヌ語で会話できる人が学者などを除いてほとんどいない状況などにも触れた。
学生らは20日、ポロト自然休養林の散策や、詩人で古布絵作家の宇梶静江さんとの懇談を予定している。