人の脳は生まれてから4歳までに半分が出来上がり、残りの半分は5~17歳で形成されるという。専門家の間で多少、年齢幅があるものの、おおむね大きな差異はないようだ。これを背景にソニー創業者の一人、井深大氏は1964年に幼児開発協会(現在のソニー教育財団)を設立し、0~4歳の子どもにさまざまな刺激を与えることで知能の発達を促し、人間として立派に成長させることができると幼児教育の重要性を提唱してきた。
先日、NHK教育テレビ(現在のEテレ)の子ども向け番組「なにしてあそぼう」「できるかな」に出演していた高見のっぽさんが昨年9月、88歳で死去していたことが報道された。60~80年代に子育てをしていた人ならご存じの方もいるだろう。本人は放映中、一言もしゃべらずにはさみ一つで巧みに工作を披露し、子どもたちの興味を誘ってきた。
高見さんは、子どもたちを自分なりの言葉で「小さい人」と呼んできた。5歳の頃が一番賢く、何でもよく分かるという自分の経験から敬意を込めた言い方なのだという。やはり幼児期の過ごし方の大切さをよく理解していたのだと思う。
いつの時代も子どもは「宝」。子どもたちが健やかに育つようなより良い環境をつくるのは大人の責務といえる。(教)