サッカーのJリーグが開幕したのは30年前。1993年の5月15日。正月以外テレビ中継されることの少なかった、地味な実業団サッカーの変身への熱気や驚くほど簡潔な開幕式典を覚えている。
わが家の息子2人は今40代。中学生の頃と小学校中学年の頃に苫小牧へ転校した。下は小学校から高校までサッカー部に所属した。今でも注目しているスポーツ選手として2人が名前を挙げるのは、カズ(三浦和良選手)だ。幼い頃から白地に黒のしま模様の帽子を買ってあげたのに、2人ともプロ野球には一貫して冷淡だった。Jリーグ世代なのだろう。
93年にはスポーツ以外でも、今につながる大きな変化があった。新しい政党が相次いで誕生した。宮沢内閣不信任決議案が可決され、7月の総選挙では自民党が過半数割れ。社会党(当時)も議席を減らし自社主導の55年体制が崩壊。非自民8党派連立の細川内閣が誕生した。
サッカーは、ゆっくりだったパスの速度が素人目にも増した。欧州で活躍する若手が増えた。30年前には考えられなかったことだ。それに引き換え政治は―。政党は相変わらず離合集散を繰り返している。少子化など課題を先送りして、地方は野球もサッカーも「合同チーム」が増える。30年という時間を考える。(水)