春に親元を離れた学生や社会人の中には、弁当作りを始めた人もいることだろう。早朝から寝ぼけ眼で作るので、昼食時になって口に入れた瞬間、自分の料理の腕を呪うこともあるのでは―。
弁当は日々進化し、人気の「キャラ弁」に動物や乗り物を立体的に表現する「3D版」が登場したり、具を挟んだご飯をのりで包む「おにぎらず」が薄焼き卵やレタスでも包むようになったりした。弁当箱は、素材や形のほか、長時間保温、電子レンジ対応、折り畳んで持ち帰れるなど機能が多様化。誰もが「楽しくおいしく」を追求できるようになった。
そんな弁当を子ども自身が自宅の台所で作り、学校に持参して食べる「弁当の日」を設ける学校が、全国に約2000校ある。子どもたちは家事の大変さや自分への親の愛情を意識し、親たちは愛される喜びを感じるわが子の姿を見て子育ての楽しさを実感。食育や親子関係に好影響を与えていると言われており、手作り弁当から広がる世界は無限のよう。
アウトドアシーズンを迎え、弁当を屋外で食べてみるのも一興だ。大空の下、風に吹かれながらの食事は、1人だけでも、家族や仲間と間隔を置いて座りながらでも、コロナ禍をひととき忘れさせてくれる。お試しを。(林)