つくるはつづく  藤沢(ふじさわ) レオ

  • ゆのみ, 特集
  • 2023年5月13日

  先日夏期営業がスタートした札幌もいわ山ロープウェイ。到着地にある山頂の展望台は、札幌市の街並みや夜景が楽しめる観光スポットになっています。その一角に今春、私の制作したモニュメントが設置されました。モニュメントとは、記念碑と訳されるように何かを顕彰したり、祈念のためであったり、発注者の思いを示す立体作品です。昨年末に事業提案型の選考会によって多数のプランの中から選ばれ、札幌市政100周年記念事業の一環として設置されることになりました。100年への思いを乗せた記念作品ということになります。

   設置作業はロープウエーが休業中の冬期間に進めたのですが、毎日多くの登山者が展望台にやって来て、その時に一体何を作っているのかと興味津々で声を掛けられました。そのたびにこれほど愛されている場所に作品を設置することへの責任を感じながらも、楽しみにしていただいている好意的な雰囲気にうれしくなりました。

   モニュメントは私の手から作られますが、完成した作品は私を含め多くの方々の思いや、その場所の歴史、これからの未来を内包してひとり立ちしていきます。そしてそこに立ち続けながら新しい空間をつくり、人と人の思いをつなぎ、また次の時代になれば違う価値観に置き換えられ、作品の意味が変わっていくのかもしれません。

   私の手から離れた後も見る人にとって意味ある作品を今後も作り続けていきたいと思います。

  (彫刻家・苫小牧)

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