こども家庭庁は12日、2022年4月から12月までに、全国の認可保育所で「不適切な保育」が914件確認されたとする調査結果を公表した。このうち、暴力などの「虐待」が確認されたケースは90件あった。調査は静岡県裾野市の保育所で同年発覚した園児暴行事件を受けたもので、国主体の調査としては初めて行った。
小倉将信こども政策担当相は同日の記者会見で「虐待はあってはならない。さらなる対策が必要だ」と述べた。
全国1741市区町村を対象に実施し、1530自治体が回答した。対象期間に市区町村が「不適切な保育が疑われる」として保育所に事実確認をしたのは1492件あり、914件が認定された。認定こども園なども含めた全ての保育施設では、不適切保育は計1316件に上った。
保育所で「虐待」が確認されたケースを種類別に見ると、重複を含め、身体的虐待が36件、心理的が42件、性的が20件、ネグレクトが4件だった。
同庁は全国の保育所2万2720施設に対しても不適切保育の件数を尋ねた。2万1649施設から回答があったが、0件と答えたのが全体の73%を占めた一方、501件以上との回答が3施設からあるなど、件数に大きな差があった。どのような行為が「不適切保育」に該当するのか具体的に示さなかったことが要因とみられ、同庁は「保育所によって不適切の捉え方にばらつきがあった」としている。
同庁は12日、▽身体的▽性的▽ネグレクト▽心理的―の4類型の虐待や「子どもの心身に有害な影響を与える行為」と疑われるものを「不適切保育」と定義した新たなガイドラインを策定し、自治体に通知した。今後、具体的な行為例も示す方針だ。