75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の保険料引き上げを柱とする改正健康保険法などが12日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立する。社会保障制度を全ての世代で支え合う「全世代型改革」の一環。子どもが生まれたときに支給する「出産育児一時金」の財源の一部を、後期高齢者医療制度から負担する仕組みも新たに導入する。
後期高齢者が支払う保険料を収入に応じて引き上げ、現役世代の負担軽減を図る狙い。75歳以上のうち、年金収入が年153万円を超える約4割が負担増となる。2024年度から保険料を段階的に引き上げる。
出産育児一時金は今年4月から50万円に増額された。これまで財源は、主に現役世代が負担していたが、一時金の7%分を後期高齢者医療制度から拠出する仕組みとする。
このほか、65~74歳を対象とした前期高齢者の医療費財源を、大企業の従業員らが加入する健康保険組合などが支援する拠出金制度の見直しも盛り込んだ。企業の賃金水準を反映する仕組みを導入し、水準が高い健保の負担を増やす。
患者に身近な「かかりつけ医」の機能や役割も明確化。患者が選びやすいよう、都道府県が各医療機関から報告を受け、それぞれの役割を公表する仕組みも設ける。