石川県能登地方で最大震度6強を観測した地震は、12日で発生から1週間となる。被災地の住民は崩れた瓦や割れたガラスなどの片付けに追われているが、余震が頻発し、不安の声も漏れる。
石川県のまとめによると、地震による死者は珠洲市で1人、けが人は同市と能登町で計36人、富山県でも1人が確認された。珠洲市内の住宅被害は全壊15棟をはじめ、628棟がこれまでに確認され、今後増える見通しだ。
8日から罹災(りさい)証明書の受け付けが始まり、10日までに122件の申請があった。市の応急危険度判定で「立ち入り危険」と判断された家屋も298棟あり、早急な修繕が必要となっている。
復旧に向けた動きは徐々に進んでいる。市は7日から災害ボランティアの募集を開始。受け入れ態勢の関係から、募集対象は能登地方の住民などに限っているが、11日からがれきの撤去や室内の清掃などが始まった。
市の災害廃棄物の受け入れ場には11日、開始時刻の午前9時前から30台以上の車が列をなした。実家を片付けに金沢市から来た友兼久範さん(72)は、これまでに車で5回搬入したが、がれきは残っているという。「まだがれきはあるが、受け入れ場ができてから作業がはかどった」と話した。
復旧に水を差しているのが余震だ。気象庁によると、能登地方では2020年12月ごろから地震活動が活発化。5日の震度6強と5強の地震発生後、震度1~4の地震は11日午後4時までに92回起きた。震度4は6~8日はなかったが、9日と10日に1回ずつあった。
がれきを搬出しに来た珠洲市の高根心一さん(72)は「余震で片付けがはかどらない」と肩を落とす。余震に備えて寝室やトイレの扉を開けたまま生活しているといい、相次ぐ地震に「慣れてきてしまった」と話した。