食用油脂輸送最大手のエスワイプロモーション(本社東京、神谷秀彦社長)の白老SPセンターが10日、白老港(白老町石山)に開所した。本州の製造所、油槽所からタンカーで運ばれてきた食用油脂を保管し、道内各地の食品製造工場や外食産業店などにタンクローリーで配送するための基地。
2008年までに完成したタンクに加え、昨年6月までに5基(総容量1000キロリットル)を新設し、道内では最大規模の約2000キロリットルを貯蔵する施設となった。
SPはストックポイントの略で湯槽所と訳される。同センターの敷地面積は9917平方メートルで保管する食用油脂の種類は大豆油、菜種油、キャノーラ油の3種類。品質面では日本農林規格(JAS)を取得する見込みで道民に安心、安全な製品を届けるとしている。本州から北海道間を船舶で輸送することでトラック輸送に比べ、環境負荷の低い物流(モーダルシフト)を実現した。
タンク5基の建設は2019年11月、取引先や町、施工業者らによる関係者協議から始まり、21年12月に着工、22年6月にタンク設置の運びとなった。同年11月にも稼働を開始する計画だったが、コロナ禍の影響で世界的な半導体や樹脂原材料の不足を招き、部品納期が大幅に遅延。タンク管理システム制御盤の完成やその後の工程が連鎖的に遅れることになった。
今年2月に制御盤が完成し、洗浄作業や運搬船からの荷揚げ作業、出荷テストを経て10日に開所式を迎えた。本格的な運用開始は6月初旬以降となる見通し。
開所式で神谷社長は「(道内最大規模の)食用油脂輸送を白老から展開していくことは非常に責任の重い仕事だが、ここから世界に羽ばたきたい」とあいさつした。来賓で食用油製油最大手の日清オイリオグループ河原崎靖取締役専務執行役員は「コロナ下の厳しい状況の中、無事に開所に至ったのは大変な努力のたまもの」とエールを送り、大塩英男白老町長も「道内経済発展や港の取扱貨物量が増えることも期待でき、大変ありがたい」と町内での開所を喜んだ。