肉体疲労後の眠気は、働いた組織の細胞内に「不良品タンパク質」がたまって引き起こされることが分かったと、筑波大と東京大大学院の研究グループが発表した。
運動や労働で体を動かした後は普段より強い眠気を感じ、寝付きが悪いときには適度な運動が有効であることが分かっている。しかし、そのメカニズムは明らかでない。
研究グループは、睡眠の調節に関わる遺伝子を持つ点で哺乳類と共通する線虫を使い、実験を行った。ランダムに遺伝子を変異させた中から睡眠時間が通常の2倍ほどの個体を複数発見。その原因がsel―11という遺伝子の変異であることを突き止めた。次にマウスを用い、類似する遺伝子を阻害する実験を行ったところ、睡眠時間が増えた。
sel―11遺伝子には、立体構造に異常がある不良品タンパク質を分解する機能がある。疲労に伴いsel―11の機能が低下して不良品タンパク質が増加すると、脳に睡眠を促す情報が伝達されることも明らかになった。
(メディカルトリビューン=時事)