安平町が目指す「子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)」を推進する取り組みが、学校現場で本格化している。早来地区にこの春開校した小中一貫の義務教育学校「早来学園」で実証実験が始まり、町教育委員会では「学校活動の中から上がってくる子どもたちの声を、まちづくりにつなげていきたい」と構想を語る。
CFCIは、国連児童基金(ユニセフ)が世界各国で推進する事業。子どもの主体性を引き出すことで、子どもたちがまちの活動に参加し、当たり前に意見を言ったり、町の決定に影響を与えたりすることができるようにしていくもの。安平町は早来学園の設立に伴い、子どもたちの意見を積極的に取り入れており、2021年12月に、CFCIの日本型モデル実践自治体に選定された。早来学園の校則についても、中学生に当たる後期課程の生徒の声が反映されている。
今月2日に行われた5年生の学活授業では、「子どもの権利条約」について学んだ後、クラスの目標を話し合った。児童個々に考えた意見を3~4人のグループですり合わせ、各グループから上がったさまざまな言葉を組み合わせて、1年間の学級目標を決めた。
担任の清原大暉教諭(27)は「こちらが主張し過ぎないことを意識した。子どもたちが思ったよりも発言してくれたし、普段発言しない子もワークショップを通して意見を出してくれた」と振り返り、「自分たちで立てた目標に向かってこの1年間頑張ってほしい」と期待。小堤洸君(10)は「人を差別しないで接することなど、考えていたことを伝えることができた。みんなで広げていきたい」と意気込んだ。
町教委は、今回の5年生で行った授業が「子どもに優しいまちづくりを進める上でのモデルケースになる」とした上で、「この取り組みを学園全体、さらには追分地区にも波及させていきたい」と今後の展望を語った。