湯漏れ防止機能付き選んで
電気ケトルは、お湯を沸かすのにとても便利な家電ですが、転倒などで湯が漏れたことによるやけども多発しています。子どもは体が小さく、少量のお湯でも重いやけどになりやすいのです。
産業技術総合研究所の実験で、市販されていた7社の電気ケトルに、子どもがはいはいしてぶつかったときと同じ力を加えてみると、すべてのケトルが転倒することが分かりました。倒れたケトルから勢いよくお湯が出て、わずか5秒で、入院が必要となるほどのやけどを負うぐらい広がったケースもありました。
ケトルの転倒などを完全に防ぐことはできないので、湯が漏れにくい構造の製品を使用することが大切です。
現時点で問題は二つあると考えています。一つは、湯漏れ防止機能を搭載することが可能であるにもかかわらず、すべての製品には付いていない点です。この機能で、子どもだけでなく大人も守ることができます。ぜひ、すべての電気ケトルや電気ポットに湯漏れ防止機能を付けてほしいと思います。
二つ目は、安全に配慮された製品があることを、多くの保護者が知らない点。私たちが保護者600人を対象に実施したアンケートでは、湯漏れ防止機能が付いた電気ケトルを使用している人は23%しかおらず、多くの保護者が、そんな製品があるのを知らなかったと回答しています。
一度やけどしてしまうと、重症な場合には、何度も皮膚移植が必要になったり、機能障害が残ったりすることもあります。安全な製品を使用すれば、やけどの確率や重症度を下げることができます。「Sマーク」が付いている製品は安全に配慮され、第三者の認証を受けています。事故が起きる前に、安全な製品に替えることを強く推奨します。
(大野美喜子・セーフキッズジャパン理事、イラストはカモシタハヤト)