5類移行 平時への節目 3年3カ月コロナとの闘い 道内感染者延べ136万人超

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  • 2023年5月9日

  新型コロナウイルス感染症が8日、感染症法上の「5類」に引き下げられた。道内では2020年1月28日の感染初確認以来3年3カ月余りで、感染者数は延べ136万人を超え、死者も4600人超と多くの命が失われた。八つの大きな感染拡大の波を繰り返し、経済も大きな打撃を受けた。今後の感染対策は「個人の判断」に委ねられ、制約されてきた社会・経済活動は「平時」への移行に向けた大きな節目を迎えた。

   5類移行に伴い、毎日公表してきた道内の新規感染者数の「全数把握」は終了し、定点医療機関当たりの報告数を週1回公表する「定点把握」に切り替わる。全数把握の最後の発表となった8日(7日分)、道内では577人が感染(胆振管内27人)し、1人が死亡した。3年3カ月余りで道内では延べ136万3137人が感染し、死者は累計で4610人となった。

   新型コロナウイルスは日本では、北海道が最も早く感染が拡大した。鈴木直道知事は20年2月28日、道独自の「緊急事態宣言」を全国で初めて発出。法的根拠のない中での道民への外出自粛要請で、一部に批判も渦巻いたが、前例のない取り組みを政治決断し、結果的に感染拡大を封じ込めた。

   この北海道の動きを安倍政権(当時)も踏襲。言葉もそのまま使用し、その後の全国各地での特措法に基づく「緊急事態宣言」の発令につながった。

   道内ではこの3年3カ月余りで、特措法に基づく「緊急事態宣言」が通算3度(道独自を含めると4度)、「まん延防止等重点措置」は通算4度発令された。

   新たな変異株も本道に次々と襲来。八つの流行の波を繰り返した。20年春の第1波では、肺炎が悪化する例が目立ったため「新型肺炎」と呼ばれた。従来株の流行が3度続いた後、21年春の第4波ではアルファ株、同夏の第5波では重症化率の高いデルタ株が流行。22年の第6波以降は感染力が強いオミクロン株に置き換わり、感染者が爆発的に増えた。同年11月には日別の新規感染者数が2日連続で1万人を超えた。

   5類移行後は、検査料などが自己負担となり、外来も季節性インフルエンザと同程度の患者負担が発生する。法的根拠のある入院勧告、患者や濃厚接触者への外出自粛要請はなくなり、外出も個人の判断に委ね、「発症翌日から5日間」は外出を控えることなどを推奨する。医療提供体制は、より幅広い医療機関で患者を診る方式に切り替わり、道では入院患者の受け入れ病院を現在の164カ所から、9月末までに538カ所に増やす計画。外来患者は道指定の発熱外来約1200カ所で受け付けているが、より幅広い医療機関に対応を働き掛ける。

   道は8日、これまでの「感染症対策本部」を廃止し、鈴木知事が本部長を務める新組織「感染症対策連絡本部」を立ち上げた。円滑な5類移行のほか、専門家が到来を警戒する「第9波」にも備え、監視の目を緩めない姿勢だ。

  ◆5類へ移行。道内の新型コロナウイルスを巡る動き

  【2020年】

  1月28日 中国武漢市から来道した中国人女性の感染確認。道内1人目。

  2月14日 道民(50代男性)の感染初確認。

    22日 苫小牧市内で感染初確認。

    26日 鈴木知事が道内全小中学校に臨時休校を要請(27~3月4日)。

    27日 安倍晋三首相(当時)が3月2日から春休みに入るまで全国の小中学校に臨時休校を要請。

    28日 鈴木知事が道独自の「緊急事態宣言」を全国で初めて発出。道民に外出自粛要請。

  3月11日 世界保健機関(WHO)が「パンデミック」(世界的な大流行)を宣言。

    13日 改正新型インフルエンザ特措法が成立。

  4月16日 政府が「緊急事態宣言」対象地域を全国に拡大。北海道は「特定警戒都道府県」に。

    17日 鈴木知事が緊急事態措置発表。

    20日 鈴木知事が道内全域で休業要請を行うと発表。

  7月30日 道が感染症対策有識者会議を設置し初会合。

  12月8日 感染が拡大する旭川市へ、道が陸上自衛隊北部方面総監部に災害派遣を要請。

  【2021年】

  5月9日 政府が北海道に「まん延防止等重点措置」適用。

    16日 政府が北海道に特措法に基づく2度目の「緊急事態宣言」発令。

  6月21日 北海道の「緊急事態宣言」を「まん延防止等重点措置」に切り替え。

    29日 道内初のデルタ株感染確認。

  8月2日 「まん延防止等重点措置」を再適用。

    27日 特措法に基づく3度目の「緊急事態宣言」発令。

  【2022年】

  1月4日 道内初のオミクロン株感染確認。

    27日 4度目の「まん延防止等重点措置」適用。

  11月16日 日別の新規感染者数が過去最多の1万人超える(17日と2日連続)。

  【2023年】

  1月20日 岸田文雄首相が新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを今春から、「2類相当」から季節性インフルエンザと同等の「5類」へ引き下げる考えを表明。

  4月27日 厚生労働省が5月8日に「5類」に引き下げることを正式決定。

  5月5日 WHOが3年前に宣言した「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の終了を宣言。

  5月8日 道が「感染症対策本部」を解散。新たに「感染症対策連絡本部」を設置し初会合。

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