春の訪れと新生活 関東との環境の違い

  • レンジャー通信, 特集
  • 2023年5月6日
見頃を迎えたナニワズの黄色の花
見頃を迎えたナニワズの黄色の花
エゾノカワヤナギの花を食べるハシブトガラ
エゾノカワヤナギの花を食べるハシブトガラ

  ウトナイ湖周辺では、ナニワズの黄色い花やバッコヤナギのモフモフした花が見られ、春の訪れを感じる季節となっています。と、ここまで書きましたが、私は4月よりウトナイ湖サンクチュアリに配属になりました新人レンジャーです。冒頭のナニワズやバッコヤナギのことは、つい先日、先輩レンジャーから教わりました。3月までは関東に住んでいたので、桜の開花を見て春を感じていたのですが、苫小牧では桜も木々の新緑もまだこれからで、環境の違いに驚きました。暮らす環境が変わると、季節を感じる事柄も自分の中で変化していくのだと考えるとなんだか新鮮な気持ちになります。

   春を感じる事柄というと、野鳥のさえずりもその一つです。ウトナイ湖周辺でよく見られる野鳥の一種として、「ハシブトガラ」という鳥がいます。道内の皆さんにとっては公園などでも見ることができる、なじみのある野鳥かもしれませんが、実は、国内において北海道でしか見ることができません。さえずりは「ピヨピヨピヨ」といった澄んだ声で、ウトナイ湖周辺の観察路を歩いているとよく耳にします。

   ハシブトガラは、昆虫や植物の種子等を餌としていて、早春の時期は、バッコヤナギやエゾノカワヤナギなどヤナギ類の木に集まって花を食べる様子を観察することができます。体を花粉だらけにしながら夢中になって食事をする様子はとても愛らしく、5月に入ってヤナギ類の花が散るまでの、この時期ならではの光景です。かわいらしい姿を目にして癒やされるとともに、季節に応じた食べ物を見つけて環境に適応するたくましさに感心します。

   皆さまの中には、4月から新生活が始まり、気を張ることが多いという方もいらっしゃると思います。週末などお休みの日には、息抜きに野鳥の声に耳を傾けて、春の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。ネイチャーセンターでは、ウトナイ湖周辺に生息する野鳥の鳴き声を学べる展示があります。土日祝日の開館時にぜひお気軽にお越しください。

  (日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ・山口藍レンジャー)

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