第2次世界大戦後のポピュラー音楽のレコードでは、リードボーカルの音量がバックの楽器演奏より大きかったが、1975年ごろまで一貫して低下傾向だったことが分かった。ドイツ・オルデンブルク大の研究チームが米ヒットチャート「ビルボード・ホット100」の年間上位4曲を46年から2020年まで調べ、2日までに米音響学会の専門誌「JASA・エクスプレス・レターズ」に発表した。
この要因はギターやベースなどがエレキに変わり、アンプで音が大きくなったほか、ステレオや多重録音の導入により、リードボーカルの声をそれほど大きくしなくても歌詞をはっきり聞き取れるようになったことが考えられるという。
75年ごろから2020年までは、リードボーカルの相対的な音量は横ばいで変化は見られなかったが、音楽ジャンルによる違いが大きくなった。相対的な音量はカントリー、ラップ、ポップ、ロック、ヘビーメタルの順に大きく、ロックやメタルは曲を特徴付けるギターのフレーズがリードボーカルと対等の位置を占めるようになった。
研究チームは調査対象の計300曲について、レコードやCDなどを音源として、リードボーカルとバックの演奏をコンピューターのソフトウエアで区別した。