アメリカのケネディ大統領が暗殺されたのは1963年11月22日のことだ。銃器大国アメリカの病巣を、胆振の東端の中学生を含む世界中の人が同時に目撃した。記憶はあいまいだが、確か親に指示されて家の周りの雑草取りをしていた。兄の「ケネディが撃たれた!」という大きな声が聞こえ、それから数日は、オープンカーの後部座席に崩れてゆく大統領と、覆いかぶさるように動くジャクリーヌ夫人の様子を、ぼやけた白黒のテレビ画面で、何度も何度も繰り返し見た。
朝、新聞のテレビ番組欄を見ていて、そんな60年前の出来事を思い出し、考えた。今はほぼ毎日の午前中、アメリカ大リーグの衛星中継放送が見られる時代。大谷翔平選手が明るく爽やかな笑顔で披露する二刀流を、ほぼ同時刻に、鮮やかな色彩で楽しめる技術の進歩に驚かされる。スポーツだけでなく世界中のニュースも一斉に見られる。それなのにアメリカでは銃器による事件がなくならない。ウクライナにはロシアが攻め込み、スーダンでは武力衝突が続く。科学技術と平和はなぜ並行して進まないのだろう。
きょうは昭和の日。新聞の天気欄には大型連休の前半、傘や雲が多めに並ぶ。外出の難しい日は「なぜ?」を考える時間を少しでも増やす連休にしたい。(水)