職場では、上司、部下や同僚をどう呼ぶかという決まりはないが、ビジネスマナー的には、部長、課長などは役職名、それ以外は「さん付け」で呼ぶのが無難なように思う。
さすがに、「ちゃん付け」で呼ぶような会社はないだろうが、「君付け」していた部下が自分の上司になるとか、呼び捨てに至っては、上から目線の命令口調にもなりかねないだけに、相手や周囲が不快に感じる呼び方には、気を付けておきたい。
ただ、私の前職での経験は、女性職員に対する呼び方が、そのどれにも当てはまらないケースがあったので、ご紹介したい。
それは東北地方の日銀支店勤務時代のこと。赴任当初は、まずは職員の名前と顔を一致させるのが仕事の第一歩となるが、支店内で耳に入ってくる呼び方は、なぜかファーストネーム(下の名前)ばかり。
しかも、女性同士はもとより、支店長ほか店内全員が「〇〇子さん」などと呼んでいるものだから、名字ではなく、「〇子、〇美、〇香…」と下の名前を覚えなければならず、これが日課となっていた。
決して同姓が多い職場ではなく、その経緯も判然としなかったが、間違いなくその支店はとても家族的な雰囲気があり、コミュニケーションが取りやすく、全国の日銀支店の中でも最上位の風通しの良い職場と言われている。
ただ、今でも一人一人のファーストネームはすぐに答えられるのに、名字がまったく思い出せないのは残念だ。
(苫小牧信用金庫常勤理事)