名古屋刑務所(愛知県みよし市)の受刑者暴行問題で、同刑務所は28日、特別公務員暴行陵虐などの疑いで、21~37歳の男性看守ら13人を書類送検した。うち1人は受刑者にけがをさせたとして同致傷容疑でも立件された。名古屋地検が今後捜査し、刑事処分を判断する。
法務省は同日、13人を停職や減給の懲戒処分とするとともに、同刑務所の中田学司所長(59)や平良敦志前所長(59)を厳重注意とするなど計33人の処分を発表した。
13人の送検容疑は2022年3~8月、受刑者3人に対して暴行を加えるなどした疑い。このうち、25歳の看守は居室の食器口越しに受刑者を引き寄せて頭部を強打させ、負傷させたとされる。
暴行は計99件確認され、負傷させた看守を含む3人は14~29回繰り返すなどしたとして停職6カ月の処分を受け、いずれも辞職した。暴行回数などに応じ7人が停職2、3カ月、3人が減給3カ月となった。土下座やごみの付いた薬の服用の強要もあったという。大半が20代で、1人は看守部長(37)だった。
このほか、「殺すぞ」との暴言や無視なども21年11月以降に300件余りあった。13人以外にもこうした不適切な処遇を行っていたとして、9人が訓告や厳重注意などの処分を受けた。
暴行を目撃したり受刑者のけがを認識したりしながら上司への報告を怠った3人が注意処分となり、中田所長や平良前所長ら幹部8人は監督責任を問われた。
暴行や不適切処遇は60代の受刑者に集中しており、関わった計22人の多くは「言うことを聞かずいら立った」などと説明。これまでの調査で一部は「悪ふざけだった」「優越感を味わいたかった」と話したという。
法務省は原因究明や再発防止を検討しており、6月にも報告書を取りまとめる。