木質バイオマスを利用したエネルギー事業を展開する「sonraku(ソンラク)」(士別市)が厚真町幌里地区で行う小型の木質バイオマス発電(分散型熱電併給システム=CHP)の運転を開始した。木質チップを活用した発電・発熱により、地域へ電気と熱を供給する仕組みづくりを目指す。同社が木質バイオマスCHPを展開するのは道内で厚真町が初めて。
CHPは木材を細かく砕いたウッドチップを燃料に、発電と熱供給を同時に行うシステム。1台当たりの発電は40キロワットほどで年間約500トンの小規模で運転するため、持続可能な範囲で活用することができる。
同社のCHP機器は、小型の建物内にチップを燃焼させるガス化装置、冷却・熱回収装置、ガスエンジン、エンジン排気冷却装置などを備え、発電とともに熱でチップを乾燥させることができる。4月5日から本格的に運転し、北海道電力ネットワークに売電を開始した。
26日に事業見学会が行われ、井筒耕平代表取締役は「確実に24時間運転できるようにすることと、年間を通じて熱を供給することが課題」と説明。また、地元の林業関係者や若い世代との交流にも意欲を示し、「将来的な木材の調達も視野に入れたい」と考えている。
宮坂尚市朗町長は「これから先、さまざまな可能性を秘めている事業。単にエネルギーを熱に変えるだけではなく、森と人間のこれまでの深いつながり、地球環境における森の貢献度など、多方面から森を中心に人々の暮らしを見直すきっかけになるのでは」と期待を寄せた。