岸田文雄首相の遊説中に爆発物が投げ込まれた事件を巡り、谷公一国家公安委員長は26日、警察庁から連絡を受けた後も「うな丼を食べた」と発言したことについて「誤解を招きかねない発言だという批判は聞いている。適切ではなかった」と述べた。その上で「治安を預かる責任、緊張感を持って職務にまい進したい」と続投する考えを示した。東京都内で記者団の取材に応じた。
首相は擁護しているが、立憲民主党は更迭を要求。与党内からも苦言が出ている。
谷氏は25日、都内で開かれた自民党議員のパーティーで、事件当時は高知県を視察中だったと明かし、「四万十で楽しみにしていたうな丼はしっかり食べた」と発言。26日に「大変舌足らずだった」と釈明したが、「事実以外は言っていない」などとして撤回は拒否した。
26日の参院本会議で、立民の宮口治子氏は「要人警護、警備の責任を担わせていいのか」と即時更迭を要求。首相は「必要な指示、情報収集を行っていた。引き続き職務に当たってもらいたい」と続投させる考えを示した。
立民の安住淳国対委員長は記者団に、来月開催される先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)に触れ、「緊張感が足りない。こういう人の下で警察全体が緊張感を持ってサミットをやれるのか」と疑問を呈した。
与党内からも谷氏に対し批判的な声が出ている。自民党幹部は「余計な一言だ」と漏らし、閣僚経験者は「緊張感に欠ける」と指摘。公明党の高木陽介政調会長は記者会見で「閣僚は発言に慎重であるべきだ」と述べた。