8年ぶりの厚真町議選は予想がつかない展開となり、手に汗握る戦いとなった。
定数11に対して現職9人、新人4人の計13人が立候補。「厳しい選挙戦になる」との言葉を何度も耳にした。過去の町議選は、現行の定数11になった2011、15年がいずれも候補者12人で超過1。前回19年は立候補が10人と定数を割り、36年ぶりの無投票だった。
成り手不足や投票率の低下が全国的に問題となる中、今回の町議選はそれらを感じさせない選挙戦となった。特筆すべきは意欲あふれる新人4人の立候補だろう。30、40代と若手が多く、元国会議員秘書や他町での町議経験者など、興味深い顔触れで現職を刺激した。
未知数な部分が多いことから、いい意味の緊張感があり、連日の遊説も活発だった印象だ。投票率の低下が著しい他市町村をよそに、77・66%と高い数値をたたき出したことも選挙戦の注目度を裏付けした。5日間、非常に活気のある舌戦は見応えがあった。
人口減少、少子化高齢化の進展、過疎化が進む社会をどう立て直し、元気にしていくか。加えて厚真町は被災森林や町民の心のケアなど、いまだ爪痕が残る胆振東部地震からの復興、コロナ禍や物価高騰などで打撃を受ける基幹産業の農業をはじめとする事業者への対策支援、役場新庁舎と周辺整備に関する議論―など課題は山積みだ。議員一人ひとりの活躍に期待したい。(胆振東部支局長・石川鉄也)