新たな感染症危機に備えるための改正新型コロナウイルス対策特別措置法と改正内閣法が21日の参院本会議で、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立する。感染症対策の司令塔となる「内閣感染症危機管理統括庁」新設が盛り込まれた。政府は9月1日にも発足させる。
同庁は内閣官房に置き、政府行動計画の策定や対策立案、総合調整を一元的に担う。トップの「内閣感染症危機管理監」には官房副長官が就く。平時は38人の専従職員を配置。有事には101人態勢に増やし、他省庁との併任も含めて最大300人規模とする。
都道府県知事に対する首相の指示権も強化する。現行法は「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」の発令中に限られている指示権発動を、改正後は政府対策本部を設置した時点で可能とする。コロナ禍で政府と知事の歩調が合わず、初動対応が遅れた反省を踏まえた。
クラスター(感染者集団)発生で市町村が業務を継続できない場合も、対策本部設置時から都道府県が発生届受理などの業務を代行できるようになる。現在は宣言時のみ認められている。
宣言や重点措置の発令中、事業者に営業時間短縮などの命令を出す規定も明確化する。