1カ月間に及ぶ統一地方選も、大詰めを迎えている。苫小牧市議選は定数28に対し、29人が火花を散らす少数激戦で、舌戦は熱を帯びる。遊説カーがまちを隅々まで回り、候補は喉をからす。
そんな選挙の取材を、20年前から担当している。最初の体験は、大激戦の構図となった、ある統一地方選の前半戦。有力候補が乱立し、今振り返ってもまれな選挙戦だった。当時は記者の頭数が足りず、猫の手も借りたいところ。いずれ経験する道であればとばかり、ベテラン現職候補を担当した。
当方も意気揚々と取材に力を入れ、記事もチェックを繰り返した、はずだった。魅入られたように訂正記事を出し、関係者におわび行脚した。あまりにも一目瞭然の間違いが奏功したわけではないだろうが、怒り心頭のはずの相手から「新人だから」と笑い飛ばされて決着した。選挙のたびにこの失敗を思い出す。
新年度が幕を開けてからはや20日。行政や企業など取材先で新人を見掛ける機会も多く、そのやる気に満ちた表情に、こちらも刺激を受ける。新人だから許される、とは間違っても思わないでほしいが、失敗から学べることも多い。やりたいことに、どんどん挑戦し、成長の糧にしてもらいたい。(金)