デジタル機器による目の疲労増加 全世代で広がるCVS

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  • 2023年4月20日

  誰もがパソコンやスマートフォンなどに日常的に触れるようになった結果、目や脳が疲れてしまう「コンピュータービジョン症候群(CVS)」が増えている。国際医療福祉大学保健医療学部(栃木県大田原市)視機能療法学科の原直人(はら・なおと)教授は「CVSは生活習慣病化しています」と話す。

   ▽子どもから大人まで発症

   CVSは目に特化した健康障害の総称で、米国で最近使われるようになった。もともとは、情報機器の作業をする特定の人の労働衛生管理が目的で、日本ではVDT(ビジュアル・ディスプレー・ターミナル)症候群として知られている。

   VDT症候群の症状には、目が重い、痛いなどの眼精疲労の他、首や肩の凝りなどの筋骨格系の疲労、精神系のうつ病の三つがある。「これは単に目の疲れというよりも、全身と脳の疲労とされています」と原教授。

   VDT作業に従事する6割の人にドライアイが見られるという。「画面に集中するため、まばたきが少なくなります。勤務中のストレスで涙の量が減り、目が乾きやすくなるという特性もあります。コンタクトを装着している人は、特にドライアイになりやすいです」

   ▽目の休養と眼鏡の矯正を

   目からデジタル機器の画面までの距離は非常に短いため、「その状態を継続していると、ピントが合わなくなったり、寄り目になったりすることもあります」。

   VDT作業をする人を含め、CVS予防の一つに「20・20のルール」がある。20分間画面を見たら20秒間、遠くを見て目を休ませる。それが脳を休ませる。机にタイマーを置いて、20分ごとに遠くを見るようにするのもよい。とにかく休憩を取ることが大切だ。

   近距離でずっと見続けているため、ピントを合わせた眼鏡による矯正も重要。「目の疲れを感じたら、まず眼科を受診してください。VDT作業に限らず、日常的にデジタル機器に接する人は眼鏡が必要なのかを確かめて、ドライアイ対策をするとよいでしょう」と原教授はアドバイスする。

  (メディカルトリビューン=時事)

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   国際医療福祉大学保健医療学部視機能療法学科の所在地は郵便番号324―8501 栃木県大田原市北金丸2600の1。電話0287(24)3000。

  目の休養を

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