バラの主要な香り成分「β(ベータ)・ダマスコン」には、皮膚の炎症反応を抑制する作用があることが分かったと、東京理科大の研究グループが発表した。
免疫細胞の一種である樹状細胞には、体内に侵入した病原体の特徴を認識して、病原体を攻撃する別の免疫細胞を増殖、活性化させる働きがある。しかし、何らかの原因で樹状細胞が過剰に活性化して制御できなくなると、炎症や自己免疫疾患を引き起こすことがある。
研究グループは、樹状細胞の働きを制御できる物質を探索するため、香料に着目。香料化合物のデータベースから樹状細胞の免疫抑制物質の候補約20種類を選んで分析した。
細胞実験の結果、ベータ・ダマスコンが樹状細胞による炎症反応を抑制すること、マウスに投与する実験では皮膚炎を改善することが分かった。
研究グループは「香料化合物による炎症性疾患などの治療法開発への応用が期待できる」と指摘している。
(メディカルトリビューン=時事)