岸田文雄首相の遊説先で起きた爆発事件を受け、政府・自民党は警備強化のため、23日投開票の衆参5補欠選挙での政権幹部の遊説を原則として屋内で実施する方針を決めた。複数の党関係者が18日、明らかにした。
対象は、警視庁が警護員(SP)を付けている閣僚、党幹部、首相経験者ら。屋内にするのは不審人物を排除しやすいためで、入り口に金属探知機を設け、入場者に手荷物検査を実施する。
街頭でやむを得ず演説する場合は、SPらが周囲をより的確に警戒できるよう、路上ではなく防弾スクリーンを取り付けた街宣車の上から行う。聴衆との距離は20メートル以上を確保。聴衆には現場で手荷物検査を実施し、コーンなどで区切った場所に立ってもらう。
自民党が政府からの要請を受け、関係する千葉、和歌山、山口、大分の4県連などに17日に通知した。
ただ、警備の強化に伴い、屋外で有権者と握手を交わしたり、写真撮影に応じたりするのは難しくなりそうだ。党内には「選挙中は屋内より街頭の方が不特定多数にアピールできる」(閣僚経験者)との声もあり、有権者との接触と安全確保をどう両立させるか、ジレンマを抱える。
党関係者は「警護対象者だけでなく聴衆の安全も確保しなければならない。警備強化はやむを得ない」と強調している。 事件のあった15日の和歌山市の遊説会場では、手荷物検査は行われていなかった。16日以降、首相や党幹部の演説では警備の警察官が増員されるなどの態勢強化が図られた。
一方、立憲民主党関係者によると、政府側から同党に「原則屋内」の要請はないが、対応を検討中という。