地方に住みながら都会の仕事と農業など地方の仕事を両立させ、豊かなライフスタイルを創出する街「アグリ・スマートシティ」の実証実験地域に、安平町が今春、新たに加わった。ANAグループなどが進めようとしている街の構想で、同実験地域は全国でも4地域。道内では同町のみで、農業体験をはじめとするプログラムの実施を7月に予定している。
アグリ・スマートシティは、飛行機とICT(情報通信技術)を活用し、首都圏企業の従業員が地方に住んでリモートワークと地方の仕事を兼業し、生活をしていく街の構想。都市部と地方の人の交流も兼ねた試みで、大都市圏への人口一極集中、地域の過疎化、一次産業の衰退などの解決につながることが期待されている。
実現に向けたプロジェクトは、ANAグループ、NTTコミュニケーションズ、羽田みらい開発の3社が中心となって2022年3月にスタートさせた。同年12月に香川県高松市で実証実験を始め、首都圏の企業などから計13人が参加している。
今春は、空港からのアクセスが抜群で、実験への参加意思を示していた安平町をはじめ、山口県宇部市、香川県綾川町が実証実験地域に加わった。それぞれ7月から来年3月にかけて、自治体の強みを生かし、複数の実証実験を展開。実験参加者たちが検証し、効果や課題を分析する。
安平町では第1期(7月5~9日)、第2期(同19~23日)に、それぞれ町外から4人、町内から4人の参加者を募集し、期間中に行うこととして、農業体験や町民との交流会などを検討している。
町政策推進課の担当者は「新たな関係人口の創出や人材不足の解消、将来的な移住定住に結び付けば」と話し、「いろんな企業の従業員が町に入ってくることで、新たな関係性が生まれれば。企業誘致にもなるし、企業の持つ強みを生かして町の課題解決にもつなげたい」と今後の広がりに期待している。