安平町内で農業と福祉を掛け合わせた農福連携事業を展開するNPO法人「コミュニティシンクタンクいんくるらぼ」がこの春、町内安平のあびら交流センターに「いんくる食堂」を開店した。障害を持つ人や高齢者も働くことができ、子ども食堂のような機能も持たせることで、子育て世代やさまざまな人が集うコミュニティーを創出したい考え。同法人の山村哲也代表は「単なる飲食店ではなく、多くの人に開かれた場所にしていきたい。ここが社会とつながるきっかけになれば」と構想を語る。
食堂は、近くの農家から仕入れた野菜や米など地元食材を使って豚汁やそば、カレー、焼き魚、総菜を提供。弁当やテークアウトにも対応する。レトロ感あふれる店内には、町民が作った加工品や雑貨なども置く。
運営は山村代表を含むスタッフ5人が中心となるが、障害者や高齢者らは有償ボランティアとして時間、日数を選択して働けるようにする。障害者は、同法人が連携する札幌市内の就労支援事業所の就労メニューとして働くことができる。
また、子ども食堂や地域食堂のように、食事を必要とする人に無料で提供できるよう「ミラチケ」(商品券)を1枚330円で販売。誰でも使うことができ、「子どもたちもそうだが、ちょっとお金が足りないといった人がご飯を我慢することのないようにしたい」という。
山村代表は「飲食店をやりたかったのではなく、食で福祉をつくりたい。(国などの)財源を当てにせず、社会の中に福祉があるような仕組みにしたい」と未来図を描く。「気軽にお茶を飲んで、おしゃべりするコミュニティーカフェとしても使ってもらい、人口減少、少子高齢化が進む地方のモデルになれば」と話している。
営業時間は火~土曜の午前11時から午後9時(日曜は同7時まで)。月曜定休。