共働き夫婦にとって、子どもが小学校に上がると預け先の確保が難しくなるのが、「小一の壁」だ。この問題を乗り越えるには、長時間労働の見直しと、夫が家事と育児を分担することが必須と専門家は指摘する。
保育園には、親のお迎えが遅かったり、朝早く出勤しないといけなかったりする場合に利用できる「延長保育」がある。しかし小学校になると、下校後の子どもを預かる学童保育は、公立の場合午後6~7時で終了したり、早朝は開いていなかったりで、預け先に苦労する親は多い。結果として、母親である女性が働き方を変えざるを得ない状況に陥ることも。
「小一の壁」対策の一つは、民間の学童保育の活用。延長利用が午後9~10時までという施設もある。ただ、公立に比べ利用料が高めで、延長費用は別途かかるので経済的負担が増える。
「長時間労働の改善が必要」と強調するのは、子育てアドバイザーの高祖常子さん。
海外の育児と仕事の両立事例を多く見てきた高祖さんは「日本人は労働時間が長く、仕事が生活のベースになってしまっている」と指摘する。
フレックス制度の利用など、柔軟な働き方も求められる。勤め先に制度がない場合は、勤務時間の変更について会社と交渉してみる。自分1人でやるのが難しいなら、「職場で同じように悩んでいる同僚もいるはず。そういう人たちと協力して上司や担当部署と話し合ってみては」と提案する。
妻の負担が大き過ぎることも大きな問題だ。総務省によると、男性が家事や育児、介護などに費やす時間(2021年)は1日平均約1時間50分で、女性の7時間半の4分の1程度。高祖さんは「男性も働き方を見直して分担しましょう。妻といろいろ話し合えば、自分たち家族の在り方について考えるきっかけにもなりますよ」と呼び掛けている。