「歩いた家の数以上に票は出ない。握った手の数しか票は出ないんだ」。自民党の石破茂元幹事長が若いころに田中角栄元首相から聞いた選挙に勝つための極意という。余計なことは考えず、とにかく歩けという教えだったそうだ。
統一地方選の前半戦は9日に投開票が行われた。コロナ下の選挙戦は、握手に代わって拳と拳を突き合わせる選挙スタイル。それで候補者の熱意がどれほど伝えられたのか。得票は4年間の評価や新人への期待感が反映されたと考える。
道議選は46選挙区(定数100)のうち19選挙区30人が無投票で当選するなど全体的に盛り上がりに欠けた。それは投票率にも表れ、知事選を見ても51・70%と前回(58・34%)を大幅に下回り、過去最低となった。これは政党や政治家だけでなく、有権者にも責任の一端があり、重く受け止めなければならない。
それでも政治の停滞は許されない。道内では人口減少や少子化はもとより、疲弊した経済立て直しや基幹産業の農林水産業、観光の振興、交通網の整備など喫緊の課題が横たわる。核のごみ最終処分場建設や泊原発の再稼働、統合型リゾート施設の誘致など道民の間で賛否が分かれる重い課題もある。知事、道議、道民にとって大切な4年間の始まりだ。(教)