普通体重の人と比べ、肥満度が高い人ほど糖尿病、高血圧、脂質異常症の有病率とリスクが増加するが、女性では脂質異常症のリスクの上昇幅は小さかったと神戸大の研究グループが発表した。
この三つは肥満の人が合併しやすい代表疾患だが、肥満度別に各疾患との関係を調べた研究は少ない。そこで研究グループは、2017年4月~21年3月に神戸市が実施する健康診断を受診した65歳以上の市民約1万1000人を対象に、肥満度別の有病率と、普通体重の人と比較した疾患リスクを検討した。
その結果、全体の有病率は糖尿病が9・7%、高血圧が41・0%、脂質異常症が63・8%で、いずれも肥満度の上昇とともに有病率が増加した。リスクを男女別に解析すると、男性では肥満の進行に伴い3疾患とも上昇。女性は糖尿病と高血圧のリスクが大きく上昇したが、脂質異常症の上昇幅は小さかった。研究グループは「女性の脂質異常症の対策には減量だけでは不十分なことが分かった」と説明している。
(メディカルトリビューン=時事)