多くの企業で3日入社式があり、新年度が実質スタートした。新入社員たちの表情は輝いていた。札幌市の北海学園大学では2日に入学式があり、ワールド・ベースボール・クラシックで優勝を果たした栗山英樹監督が「最後まで自分を信じ、挑戦し続けてください」と新入生を励ましたとテレビが報じていた。
栗山監督が発する「信じる」の響きは人の心を打つが、入学式の言葉には「一流の選手たちも人知れず努力を重ねて、あの舞台に立っていた」という前段がある。だから信じてもらえるし、自分も信じられる。その1週間前のテレビ番組では爆笑問題の太田光さんが、街頭で「栗山監督みたいな上司だったらいいのに」と話すサラリーマンを見て「上司も大谷(翔平選手)が部下だったらいいのにと思ってる」と言って笑いを誘っていた。
20年近く前、記者の採用担当をしていた時、昭和の価値観はもはや通じず、受験者のどこを見るのが一番大切かを人材育成会社のプロに聞きに行ったことがある。答えは「自尊心より向上心の方が大きいこと」だった。輝きを失わないためにも努力を怠ってはいけないと若者に説いても、老害と言われるのが落ちだろうか。年を取っても努力を忘れるな、と自分にも言い聞かせる。(吉)