「苫小牧には行政課題がまだまだたくさんある。解決に道筋を付けるため、4期目に挑戦させていただく」―。今回の道議選では唯一の現職。新人3人を迎え撃つ立場だが、「ふるさと苫小牧を住み続けたいまちにしたい」との初心を忘れず、謙虚な姿勢で臨む。
1982年に苫小牧市役所入り。法律や条例、制度にのっとり仕事をする中、「本当に市民生活や実態に合っているのか」と疑問を感じる機会が増えた。「法律、条例を変えるには政治の力が必要」と99年の市議選に挑戦し、当時最年少の35歳で初当選した。
市議3期で与野党を経験し、監査委員など要職を歴任。順風満帆に思えたが、2010年に挑んだ市長選で落選。引退も頭をよぎるどん底を味わいながら、「住みよいまちをつくりたい」の志はぶれなかった。11年の道議選で初当選。3期12年の実績を重ねた。
3期目の前半、道議会で保健福祉委員長を務め、新型コロナウイルス感染症と向き合った。道職員と共にマスクや防護服の確保、保健所体制の強化、医療機関の病床確保に取り組み、「決して十分ではなかったが、ようやく収束のめどが立った」と振り返る。
そんな中で強める鈴木知事との対決姿勢。「道の支援策は、全て国の基準通り。道議会で『広く行き渡るような支援を』と訴えても、知事は『国の動向を見極めながら』と答えるばかり。国の言いなりで、北海道はいい方向に進まない」と与野党逆転を狙う。
3期目の後半、食と観光対策特別委員長として、コロナ禍で落ち込んだ経済、観光需要の回復に取り組んだ。「交流人口の拡大は特効薬にはならない」と再認識し、「時間はかかるが定住人口の確保に力を入れないと」と指摘する。
重視する政策の一つが市内物流の強化、港湾利用の促進、企業誘致だ。「苫小牧は道内貨物量の半分を預かる港を抱え、その後背地には広大な土地がある。道内で最も発展する可能性を秘めている。けん引役にしないと」と意気込む。
そのためにも「道の支援が必要」と訴え「それを引き出すのが自分の役割」。税収が増えれば、福祉や医療、教育、子育て支援などの充実に財源を充てられる。3期目に実現した室蘭児童相談所苫小牧分室にも、「一時保護機能を設置しないと。次の4年で取り組む」。山積する課題の解決に、誠実に向き合う。
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無風の公算が一転し、選挙戦に突入した道議選の苫小牧市区。定数3に対し、現職、新人の計4人が立候補し、支持の拡大を図っている。4候補に政策などを聞いた。(届け出順、4回連載)