南国生まれの氷球戦士が初の快挙―。北海道栄高校アイスホッケー部のFW大城圭太郎(3年)が、2月に青森県八戸市などで行われた特別国民体育大会冬季大会アイスホッケーの少年男子北海道代表に沖縄県出身者として初選出され、20連覇に貢献した。4月からは関東の強豪法政大に進学。貴重な経験を糧に新天地でも飛躍を誓う。
青天のへきれきだった。国体少年の部で計71回の優勝と圧倒的な強さを誇る本道代表。毎年、道内で幼少期から腕を磨いた将来有望な選手が名を連ねる。大城が吉報を受けたのは昨年12月下旬。「一つの目標にはしてきたが、まさか自分が」と耳を疑った。
ようやく実感が湧いたのは数日たってから。沖縄県アイスホッケー連盟によると、同県出身選手が道代表に選出されるのは初の快挙だ。
夢のような時間だった。石田聖弥(駒大苫小牧高3年)と岸本航太(白樺学園高3年)の苫小牧出身コンビと第2セットのFWラインを形成。小学6年時のU12日本選抜で共に世界と戦った間柄だった。
大城は初戦のトーナメント2回戦、対福岡戦で2得点3アシスト。続く準決勝の栃木戦は1アシスト、決勝の青森戦こそポイントなしに終わったが「大事なところでのパックキープや速いプレッシャーなど、自分ができることを全うできた」と胸を張る。
競技と出合ったのは小学2年生のころ。沖縄県唯一のスケート場エナジックスポーツワールド・サザンヒル=南風原町=で一般滑走していた際、「ホッケーやってみないか」と声を掛けられたのがきっかけ。「誰よりもリンクにいた」と自負する大城。所属先のジュニアチーム練習はもちろん大学、社会人チームの練習にも自ら頭を下げ参加。休日になればリンク営業時間(当時)の午前10時から午後8時まで会場にいるのは当たり前だった。
チームを一つの船に例え「一緒にこいでほしい」と道栄高の小林弘典監督に言葉を掛けられたのは中学3年の春。「強い思いに引かれた。監督を日本一にしたい」と大城は進学を決意した。入学当初はチーム内屈指の実力を誇り「誰にも負けたくない」と独り善がりのプレーも多かったが、日増しに仲間を生かすことのできる真のエースへと成長。「何点差になっても残り数秒になっても、最後まで諦めずに戦う姿勢が身に付いた」と道栄伝統のハードワークも人一倍体現してきた。
2019年の全日本インカレ準優勝など、毎年全国上位に名を連ねる法大進学を決めたのには理由がある。「どんなに氷や雪がなくて、暑くて環境が整っていない沖縄からでも、努力をすればトップで活躍できることを証明したい」。だからこそ大学では「自分がチームの先頭に立つ気持ちで、日本一を取りたい」と未来図を描いた。