ホップ由来成分で認知症機能改善

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  • 2023年3月30日

  ビールの原料であるホップから生じる「熟成ホップ由来苦味酸」が健康な成人の注意力を向上させ、認知機能や精神機能を改善させるメカニズムの一端を解明したと、慶応大とキリンホールディングスの研究グループが発表した。

   研究グループはこれまで、ホップの加熱熟成で生じる苦味酸を継続的に摂取することで、認知症予防、記憶力や注意力の向上、不安感が低減する効果があることなどを報告している。今回、健康な成人男女34人(30~64歳)に、苦味酸のカプセルまたは有効成分のない偽薬を1回摂取してもらい、前後に認知機能を測る検査を実施。自律神経の働きも調べた。

   その結果、苦味酸を摂取した人の総自律神経活動は明らかに向上し、注意機能の向上も確認された。研究グループは「熟成ホップ由来苦味酸の摂取が自律神経活動を調節し、脳機能を改善するメカニズムの一端が示唆された」と指摘し、今後は、認知症患者への有用性などの検証が期待されるとしている。

  (メディカルトリビューン=時事)

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