「野鳥はなぜ長く複雑なさえずりができるのですか?」「鳴管と呼ばれる器官を使って、息を吸うときも吐くときも発声することができるからです」
2年前にスタートした連載「教えてムラさん」の初回のやりとりは、そんな感じだった。ゆうふつ原野自然情報センター主宰の村井雅之さんに、Q&Aスタイルで自然に関する素朴な疑問に答えてもらう随時掲載企画。読者からの質問は「ドングリムシ(ドングリの中の幼虫)の正体は」「カラスに襲われないようにするには」など多彩で、回答が少々難解な回もあったが根強いファンを抱えていた。
そんなムラさんが24日、63歳で亡くなった。自然の大切さや美しさを伝えることをライフワークとし、連載開始前から闘病していたが1月掲載分まで出稿していただいた。最近はメールでのやりとりが中心となり、最後の着信は「原稿をお送りします。ワープロが打てなくな(った)ので連載を中止します。すいません」だった。そのちょうど1年前、本人の希望で署名を「自然誌研究家」に改めた。本紙では過去にも手書きのイラスト付きで「フィールドノート」「ふるさとネイチャーらんど」といった多数の連載を担当していただいており、まだ書くぞという強い意欲を感じていた。(輝)