【韓国アニャン・倉下鈴夏】アイスホッケーアジアリーグ2022―23プレーオフファイナルは25、26の両日、アニャンアイスアリーナ=韓国=で第4、5回戦が行われ、レッドイーグルス北海道はHLアニャンに1勝1敗、トータル2勝3敗でアジアリーグ制覇にあと一歩手が届かなかった。
26日
▽5回戦(アニャンアイスアリーナ)
HLアニャン2-1レッドイーグルス北海道
▽得点者【ア】キム・ギソン(イ・ドンク)ガン・ユンソク(キム・サンウク、オ・インギョ)【レ】橋本(髙木、佐々木)▽GK【ア】マット・ダルトン【レ】成澤▽シュート数【ア】50【レ】32▽反則【ア】8分【レ】4分▽パワープレー得点【ア】0【レ】0▽キルプレー得点【ア】1【レ】0▽観客数961
優勝を懸けた激闘。レッドイーグルスは先制点を許すも、第2ピリオド残り1秒で橋本がミドルシュートを決めて同点。決着がつかないまま30分を超える延長の末、最後は優勢だったアニャンにゴールを決められて力尽きた。
25日
▽4回戦(同)
レッドイーグルス北海道1-0HLアニャン
▽得点者【レ】橋本(中島、大澤)▽GK【レ】成澤【ア】マット・ダルトン▽シュート数【レ】33【ア】28▽反則【レ】10分【ア】4分▽パワープレー得点【レ】1【ア】0▽キルプレー得点【レ】0【ア】0▽観客数1012
レッドイーグルスが試合開始からスピーディーなホッケーを展開し、第1ピリオド3分すぎの数的有利なパワープレーで橋本がロングシュートを決めて先制。アニャンの猛攻を全員で守り切り、終了間際の6人攻撃もしのいで完封勝利。
-主将橋本「力不足を痛感」
プレーオフ最多得点のレッドイーグルスDF橋本は、右太ももの肉離れを隠して戦い抜いた。苫小牧でのファイナル2戦を1勝1敗で終えた翌日の20日、足を地面につくと痛みが走る状態。主将が引くとチームの勢いもなくしてしまう―と、選手には知らせないまま最終戦へ。
勢いが勝敗を分けるプレーオフには調子を上げて臨んだ。26日も延長戦開始前に「俺が決めてくる」と宣言してリンクへ飛び出した。「何としても勝って苫小牧に帰りたかっただけに、力不足を痛感した」
主将として2年目を迎えた今シーズンは、試合を追うごとにチームを結束させた。それだけにリーグ制覇への思いも強かったといい、「みんながよくやってくれているので勝ちたかった」と声を詰まらせた。
-GK成澤「その1点が天と地の差」
レッドイーグルスの守護神が敵地のリンクで本領を発揮した。GK成澤はプレーオフファイナル第1、2戦を体調不良で欠場。自宅で試合中継を見ていたといい、アニャンのパワープレーでの動きに着目していた。
復帰初戦の23日は今季最多タイの5失点を喫した。パックへの意識を強く持ち過ぎたことで、「リンク全体を見渡せていなかった」と振り返る。
切り替えて臨んだ25日の第4戦は完封、チームに勝利をもたらした。「自分がいかにロースコアで抑えるかがカギだと思っていた。GKとして最高の結果を出せた」
「死闘だった大一番の最終戦」、勝利だけを頭にリンクに立ち続けた。1―1のロースコアで迎えた延長戦は、相手FWのガン・ユンソクがゴールネットを揺らして幕を閉じた。勝敗を決めたゴールに「その1点が天と地の差。準優勝ではふがいない」と目を赤くした。
-菅原監督「この悔しさ忘れないで」
レッドイグルスの菅原監督は26日の試合後、「悔しいが、アニャンは本当に強かった。監督としての差を痛感した」と遠い目で報道陣の取材に応じた。
今季はチームの観客動員数も増え、応援してもらえる実感を抱きながら走り抜けたシーズンだった。レギュラーリーグ40試合を通じ、戦術やセット構築などさまざまな試行錯誤を繰り返してきた。中でもアニャンについて「戦えることを楽しみにしていた。練習から細部までこだわっており、チームのコンセプトが伝わってくる質の高さに差が出た」とたたえる。
最終戦まで挑み続けながらも届かなかったリーグ制覇に「選手にはこの悔しさを忘れないでほしい」。今後も強敵として立ちはだかるアニャンを下すためには「表面上の技術だけ鍛えるのではなく、芯の部分まで落とし込まなければいけない」と話した。