理化学研究所などの研究グループは24日、開発を進める国産初の量子コンピューターについて、27日からクラウドを通じた外部からの利用を開始すると発表した。当初は研究グループ内の大学や企業で進めるが、徐々に対象を拡大したい考え。
スーパーコンピューター(スパコン)を上回る計算能力を秘めた量子コンピューターは、研究開発の国際競争が激化している。理研などは実際に使いながら改善点を洗い出すなどして開発を進め、人材育成や関連産業の発展も目指す。
研究グループが開発した量子コンピューターは超電導方式と呼ばれ、超電導素材を使った集積回路を、ほぼ絶対零度まで冷却して使う。情報を扱う基本部品「量子ビット」は64個搭載している。
理研のほかに大阪大や富士通、NTTなどが参加。本体や制御装置などを開発した。
本体は理研に設置されるが、クラウドサーバーを通じてインターネット上で操作できるようにする。
量子コンピューターを巡っては、米グーグルが2019年、スパコンを上回る計算性能を得る「量子超越性」を達成したと発表。米IBMも433量子ビットを備えた量子コンピューターを開発している。中国も研究開発を急ピッチで進めている。
理研量子コンピュータ研究センターの中村泰信センター長はこれまでの取材に対し、外部からの利用開始について「ゴールではなくマイルストーン(節目)。各国にたくさん開発チームがあるが、レースは始まったばかりだ」と話した。