柔らかな日の光を浴びて、大地の表面に若芽が顔を出し始めた。いてついた状況からも必ず新しい可能性が芽生えてくる。そんな感覚の季節になってきた。希望や未来という言葉が当てはまる。
未来で言えば、次世代半導体の国産化を目指す新会社ラピダス(本社東京)が、新たな工場を千歳市の工業団地に建設することを発表した。大手企業の進出はそうあることではなく、まして投資額が5兆円という巨額のプロジェクトに、隣町の苫小牧への波及にも期待が高まる。
企業が立地を決めるのにはさまざまな理由がある。うち、ラピダスが注目したのは「水」。計画地に隣接するセイコーエプソン千歳事業所も、進出時の担当者はこの地域の「地下水」の豊富さを決め手に挙げていた。もう一つ。ラピダスは「人材確保」を挙げる。
この「人材」は同じ千歳に立地した自動車用半導体製造のデンソー北海道も進出理由の最上位に挙げていた。操業から30年を経過する苫小牧市のトヨタ自動車北海道も同様だった。本道は各分野で人材不足との指摘も聞かれるが、札幌を含む千歳、苫小牧の道央圏は人材確保の面で優位性の高い地域であることを証明する。その人材をどう育成するのか。世界的な研修者輩出へ、夢は広がる。(昭)