悪酔い・二日酔いを防ぐ 酒の飲み過ぎ対策

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  • 2023年3月16日

  歓送迎会などで酒席が増えるこの時期。悪酔いや二日酔い、飲み過ぎによる脱水症状にも気を付けたい。その対策について、雪の聖母会聖マリア病院(福岡県久留米市)の靍知光医師に話を聞いた。

   ▽脱水症状に注意

   酒に含まれるアルコールは胃と小腸から吸収された後、その大部分が肝臓に運ばれて分解され、まずアセトアルデヒドという物質になる。アセトアルデヒドは毒性があり、頭痛や吐き気、動悸(どうき)などを引き起こす。アセトアルデヒドはさらに肝臓でALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)によって分解され、酢酸(さくさん)に変わる。日本人は遺伝的にこの酵素の活性が低く、酒に弱い体質の人が多いとされる。

   酒に強くても気を付けたいのが、脱水症状だ。「アルコールを分解するには多量の水分と糖分が必要です。加えて、アルコールには強い利尿作用があり、飲んだ量より多い水分が尿として排せつされます。酒を飲めば飲むほど脱水症状が進みます。飲み過ぎた翌日に喉がカラカラになっているのが典型的なものです」

   脱水が進むと、めまいや吐き気のほか、血液の粘度が上がる「血液ドロドロ」状態に陥る。「心臓病や脳卒中の既往がある人は、飲酒後の脱水に注意してください」

   ▽適切な水分補給を

   悪酔いを防ぐには、もちろん飲み過ぎないのが一番だが、あらかじめ水分を取っておくとなおよい。「酒を飲み始める前にコップ1杯の水を飲んだり、飲酒しながら継続的に水分補給するのは理にかなっています。つまみに水分が多い野菜や果物を食べるといい。果物には、アルコール分解に必要な糖分も多めに含まれています」

   翌日の二日酔いや脱水症状を防ぐために、寝る前の水分摂取も重要だ。「250~300ccの水を飲んでください。高齢で夜間にトイレに起きたくない人もいますが、血液ドロドロから重大な病気を起こさないためにも水分摂取を心掛けて」

   二日酔いになったときは、水や茶より経口補水液(食塩とブドウ糖を適切な濃度で水に溶かしたもの)が望ましい。「喉が乾いて水やお茶だけを大量に飲むと、血中の塩分濃度が低下し、体は調整しようと尿を多量に出すので、かえって脱水が進んで二日酔いからの回復が遅れることがあります。経口補水液なら、体に必要な塩分と糖分を点滴と同じくらい早く吸収できます」と靍医師はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)

      ◇   ◇

   雪の聖母会聖マリア病院の所在地は郵便番号830―8543 福岡県久留米市津福本町422。電話0942(35)3322(代表)。

  脱水症状などを防ぐために水分摂取を

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