きのうの朝刊にノーベル文学賞受賞作家の大江健三郎氏、日本で初のコンビニ=セブン―イレブンを展開した伊藤雅俊氏らの死亡記事が並んだ。時代の変転の速さ、自分との関わりを振り返った。
伊藤氏は衣料品販売イトーヨーカドーの創業者。半世紀ほど前には全国に総合スーパーを展開していた。地方紙の商店街担当の新米記者は、一度お会いしたことがある。苫小牧駅裏への出店で地元商店街と意見を調整する小売り商業活動調整協議会(商調協)出席のために来苫した際、商工会議所の入居するビルのエレベーター乗り場で遭遇した。質問の用意もなく大慌てで名刺を差し出した。同じ頃、やはり急成長し苫小牧駅南のビルにテナントとして入居を決めたスーパーダイエーの総帥・中内功氏も来苫、市役所内の記者室を突然訪れた。人口増加の続く苫小牧市が、大型店の出店騒動の震源地として注目されていた頃のことだ。
異動で町を離れ、戻った時にはヨーカドー、ダイエーともすでに閉店が迫っていた。ダイエーの入居した再開発ビルは今も空きビル状態が続く。ヨーカドーは先日、地方の閉店をさらに進める方針を発表した。人口の大都市集中と地方の疲弊。進む少子・高齢化―。誰が何の判断を誤ったのか。これが時代なのか。(水)