新型コロナウイルス対策のマスク着用ルールが緩和された13日、街中では多くの人が変わらずマスクを着けたままだった。接客の現場では客と店員で対応を変えるケースもあり、「脱マスク」の浸透には時間がかかりそうだ。
東京・霞が関の厚生労働省では同日午前、人事課職員らの勤務する様子が報道陣に公開された。約50人のうち7割ほどがマスクを着けずに仕事をしており、竹林悟史課長は「これが自然な姿だと実感した。周りや上司を気にせず、着けたい人が着ける世の中になってくれれば」と話した。
新橋の居酒屋「根室食堂」は、感染対策のためテーブルに設置していたアクリル板を1月に撤去した。13日からは客にマスク着用を求めないが、従業員は着用を続けるという。
ランチに訪れた会社員の男性(51)は「花粉症なので電車では着けていたが、基本的にはしたくない。仕事で海外から帰国すると、マスクはしなくていいのではと感じる」と話す。店長の平山徳治さん(51)は「高齢の客もいるので、店員がマスクを外すのは店としてもリスクが高い。現実的には外せない」と対応の難しさを語った。
一方、名古屋市熱田区の「今泉クリニック」では、幼児を除くほぼ全ての患者らがマスクを着用していた。定期検診で訪れた同区の無職女性()は「感染が心配なので、どんな場所でも当分マスクは着けるつもり。外す人が増えるのは少し不安だ」と語った。
同クリニックではマスク着用を求める貼り紙を、イラスト付きの分かりやすいものに変えた。今泉勲院長()は「赤ちゃんや高齢者ら感染リスクが高い人も来るので、着用を自由にするのは難しい。患者さんは安心して病院を訪れてほしい」と話した。