厚生労働省は13日、新型コロナウイルスへの感染によってできる抗体の保有率(速報値)が、全国で42・3%に上ったと発表した。26・5%(同)だった昨年11月の前回調査と比べ大幅に上昇した。福岡など6府県で5割を超えた一方、最も低かった岩手県は3割を下回るなど地域差も判明。年齢が上がるにつれて保有率が下がる傾向も明らかになった。
調査は今冬の感染拡大「第8波」後の2月19~27日に実施。献血に訪れた16~69歳の男女約1万3000人の血液を分析し、抗体の有無を調べた。
都道府県別の保有率では、福岡(59・4%)が最も高く、前回調査の29・2%から大幅に上昇。前回は46・6%でトップだった沖縄(58・0%)を上回った。このほか佐賀(52・5%)、愛知(51・8%)、鹿児島(51・5%)、大阪(50・2%)が5割を超えた。
最も低かったのは岩手(27・4%)で、唯一3割を下回った。福島(31・7%)、新潟(33・5%)、山梨(34・9%)、長野(同)と続いた。
年齢別に見ると、16~19歳(62・2%)が最も高かった。20~30代は5割を超えたが、年齢とともに保有率は下がり、60代は28・3%だった。
調査結果は、13日に開かれた同省の専門部会で報告された。部会長の脇田隆字・国立感染症研究所長は調査結果について「免疫の保有状況を示す非常に重要なものだ」と指摘。厚労省の担当者は「前回と比べ全体的に上がっている」と話した。
また、同日の専門部会では「新型コロナウイルス感染症」の名称について、5月8日の「5類」移行後も引き続き使用する方針が了承された。国民に名称が定着していることなどを考慮した。