「酪農家戸数6・5%減」―。2月27日付の本紙6面に載った小さな記事の見出しだ。袖見出しは「餌代高騰、経営を圧迫」。減少幅の大きさに息をのむ。
生産者団体が昨年12月の数字を発表した。指定生乳生産者団体に出荷している酪農家は全国で1万1202戸、うち北海道は3分の1以上の4746戸。この1年で本道は4%、他の都府県に至っては8・2%も減った。「生産コストの半分を占める餌代の高騰が経営に重くのしかかり、離農する農家が増えている」のが現状。バター不足解消へ政策的に乳牛を増やしたところでのコロナ禍とウクライナ侵攻。記事によると▽牛乳、乳製品は需要が供給に追い付かない▽後継者不足▽中長期的に安定供給を確保するため、農水省が支援策を検討する―という。
農業関係者は「令和の酪農危機」と指摘する。「需要が追い付かない」と言いながら政府は牛乳を輸入し続け、国内酪農家が生乳を廃棄する。減産へ向けて国がしたのは「乳牛の早期淘汰(とうた)」に応じた農家に補助金を支給する政策。早く食肉処理して乳牛を減らせば補助金を出すという政策だ。政治が生産者の努力と意欲を踏みにじっている。本道の酪農を守り、生産者が展望を持てるよう、道は防波堤にならねばならない。(司)