苫小牧市医師会(沖一郎会長)は、新型コロナウイルス感染症対策で市内に開設していた「苫小牧PCR検査センター」を17日で終了する。各医療機関の診療・検査体制が拡充し、コロナ感染状況も小康状態が続いているのに加え、5月8日に政府が感染症法上「2類相当」から「5類」に引き下げることなどを踏まえて判断した。
PCR検査センターは2020年5月、感染者の早期発見や感染拡大を防ぐため、道の委託事業として開設した。それまで検査は保健所を介する必要があったが、医師の判断による検査を可能にした。道内の医師会としては最も早い取り組みで、当初は1日当たり8人程度の受け入れで開始。平日に予約して自家用車で訪れ、検体採取を受ける「ウオークスルー方式」で展開した。
同11月~21年3月には季節性インフルエンザとの同時流行に備え、「発熱検査センター」「小児発熱検査センター」に改めるなど、感染状況に応じて検査体制も柔軟に拡充。医療スタッフなどを増強し、同50人超の検査を可能にした。20年度は2085人、21年度は3122人、22年度は3671人(2月15日現在の集計値)の計8878人が検査を受けた。感染拡大「第7波」の昨年8月がピークで、月間感染者数は1084人だった。
一方、医師会は発熱者診療やコロナ検査の拡充に力を入れ、東胆振1市4町では2月末現在、33医療機関(道公表分)で診療や検査ができるように。さらに抗原定性検査キットが普及し、昨年9月に感染者の「全数把握」が簡略化されたことで、重症化リスクのない多くの対象者が、一般用抗原検査で陽性認定する流れが定着。同センターの検査者数は、「第8波」ピークの昨年11月でも577人にとどまり、同12月は221人、今年1月は144人と減り、2月は15日までの速報値ながらわずか5人だった。
沖会長は「当初は先例もない中で苦労もあった」と振り返りつつ、「コロナの感染状況や検査者数も落ち着き、5月にはコロナも5類になる。PCR検査センターの役割を終えてもいいと判断した」と説明。今後についても「各医療機関で必要な検査ができるようになっている」とし、5類移行でも市民が安心できる検査体制を敷く姿勢を強調している。