日本製紙(東京)は3日、苫小牧市勇払で2月2日に営業運転を始めた「勇払バイオマス発電所」を報道陣に公開した。木質材のみを燃料に使うバイオマス発電所としては国内最大級で、同社は「送電開始から1カ月たったが、稼働は順調。二酸化炭素を吸収する木を活用し、エネルギーを供給する事業を通じて地球温暖化防止に貢献したい」と意気込む。
発電所は、日本製紙旧勇払事業所内の敷地(面積約1万平方メートル)に建設。主な燃料は北米や南米、東南アジアから調達する木質チップと、インドネシアやマレーシアから仕入れるパームヤシ殻(PKS)、道産木材の端材や間伐材を利用する。1日に約1500トンの木質燃料を使って発電。出力は7万4950キロワットで、約16万世帯の年間電力消費量に相当する。発電した電力のうち、自家消費分を除いた全量を北海道電力ネットワークに売電する。
施設は主に、燃料貯蔵の「木質チップ供給棟」、約900度の熱でチップなどを燃やして蒸気を発生させる「ボイラー」棟、蒸気でタービンを回して発電する「タービン・発電機」棟で構成。タービン・発電機棟に備えた「中央操作室」では、計16人の職員が3交代制で発電量やボイラーの燃焼状況などを常時チェックしている。施設に併設したチップヤードには、常時数カ月分の燃料を保管する予定という。
発電所は、2020年1月で洋紙生産を停止した旧勇払事業所に代わる新規事業として計画された。日本製紙と総合商社・双日(東京)の共同出資会社「勇払エネルギーセンター合同会社」が同年から建設に取り掛かり、昨年9月に試運転を開始した。施設の運転や保守管理は日本製紙が担っている。
同社エネルギー事業部の笹間崇主席調査役は「バイオマス資源の活用は、為替や価格高騰などでビジネス的に難しい面もある。しかし、長期契約で木質材を確保するなどして長期的、安定的な操業を目指したい」と述べた。