第11回女子日本アイスホッケーリーグ(スマイルリーグ)は2月26日、帯広の森アイスアリーナ=帯広市=で最終日を迎えた。大接戦となったファイナルトーナメント決勝は、道路建設ペリグリンに2―1で逆転勝ちしたDaishinの初優勝で幕を閉じた。激戦となった大会を振り返る。
全国から10チームが出場し、10月からリーグ戦を展開。2次リーグまでの結果に基づいたファイナルトーナメント戦(24~26日)で栄冠を競った。
道路建設は、ファイナル初戦で釧路ベアーズと対戦した。第1ピリオドは流れをつかむことに苦戦し、「プレーが硬かった」と寺尾幸也監督。しかし第2ピリオド6分すぎ、FW本部琉衣のゴールを皮切りに試合の主導権を握った。成長著しい高校1年の本部。寺尾監督は「スタッフを含め素質を感じていた選手。チームのみんなもうれしかったと思う」とし、ベンチの歓声もひときわ大きくなり、士気も高まった瞬間だった。その後、得点を重ねて5―2としシュート数は59―18と圧倒した一方、決定力に課題を見つけた内容だった。
Daishinとの決勝戦は両者譲らずの激戦を展開。1―1で迎えた第3ピリオド残りわずかのところでゴール前の混戦から無念の失点。2連覇まであと1歩届かなかった。
1、2次リーグをともに首位通過したトヨタシグナスは初戦、VORTEX SAPPOROに19―0と大勝。弾みをつけて臨んだ道路建設との準決勝だったが、1―3で道路建設に軍配が上がった。今隆之監督は「強いチームは先制して試合をうまく運ぶ。最後に6人攻撃を仕掛ける展開になってしまった。最小限の失点で抑えたがGK増原から得点を奪うことは難しかった」と地元苫小牧を拠点にしのぎを削る宿敵との大一番を振り返った。
3位決定戦ではSEIBUプリンセスラビッツと白熱した試合を展開した。第3ピリオド終盤、怒とうの攻撃で2得点し同点に。延長戦でも勝敗は決まらず最後はGWS(ゲームウイニングショット)の末に惜敗した。それでも今監督は「選手らの地力を感じた試合だった」とし、大会で得た手応えは大きい。
長期間熱い戦いを展開した国内ビッグ大会は全日程を終了。優勝Daishin、2位道路建設、3位SEIBU、4位トヨタ。日本代表選手を多く輩出する上位4チームの戦いはいずれも接戦。国際大会で経験を積んだ選手の迫力あるプレーが随所で見て取れた。
北京五輪で予選グループBを1位通過し、史上初の決勝トーナメント進出を果たした日本代表のスマイルジャパン。五輪後、競技の先陣を切ってきた選手らの引退発表が続き、世代交代の動きが加速する中、若手の台頭も目立つ。1月に米国のレークプラシッドで開催されたFISU冬季ワールドユニバーシティゲームズ2023では女子が準優勝を果たすなど、躍進を遂げる日本。これまで国際試合を積んだ選手らが「海外選手とは体格の差があり、フィジカル面で苦戦する」と指摘する課題もある中で、「速攻の攻撃は通用したと思う」と手応えを口にしている。
日本女子アイスホッケーが世界を相手に歴史を変える日は遠くない。成長し続ける選手らの努力が実り、五輪表彰台へ上るスマイルジャパンの勇姿を期待する。