昨年1年間に自動車やバイクで75歳以上の運転者が起こした死亡事故は前年比33件増の379件に上り、死亡事故全体に占める割合が過去最高の16・7%となったことが2日、警察庁のまとめで分かった。一昨年も統計が残る1986年以降で最も高い15・1%となっており、2年連続でワーストを更新した。
同庁は昨年から「団塊の世代」(1947~49年生まれ)が75歳になり始め、75歳以上の免許人口が増えたのが要因の一つとみている。2021年の同人口は約610万人だったが、昨年は約667万人になった。
免許人口10万人当たりの死亡事故は5・7件で、75歳未満の運転者(2・5件)の2倍以上だった。自動車による死亡事故(349件)の原因は、ハンドル操作の誤りやブレーキとアクセルの踏み間違いなどが105件で最も多かった。
高齢運転者による事故で死亡したのは392人。最多は運転者自身の235人で、運転者の同乗者は41人だった。相手方は4~97歳の116人。
19年に東京・池袋で母子が死亡した事故など相次ぐ高齢運転者の事故を受け、改正道交法が昨年5月に施行された。一定の違反歴がある高齢者は免許更新の際に「運転技能検査(実車試験)」の受検が義務付けられ、施行から昨年12月末までに延べ7万7083人が受検し、約9割が合格した。同庁は受検者のその後の事故の発生状況を分析し、必要な対策の検討を進める。