「海外旅行保険が使えない!」

  • 内山安雄の取材ノート, 特集
  • 2023年2月24日

 目下私のところに時ならぬ特殊詐欺事件のルフィやマニラのビクタン収容所がらみの原稿依頼が雑誌や新聞から相次いでいる。

 余談になるがくり返し報道されているビクタン収容所内で、この私の著作がバイブル扱いされているというのだ。驚き桃の木だが、私はフィリピンを、特にマニラを舞台にした小説やノンフィクションを何冊も刊行している。犯罪ものが多いので、日本人収容者の間で回し読みされているのだろう。

 ところでその海外だが、渡航する多くの人が海外旅行保険に入るだろう。転ばぬ先の杖(つえ)、万が一の時に安心できるというものだ。

 だが、この海外旅行保険には思わぬ落とし穴があるので要注意。この私、アウン・サン・スー・チー女史をミャンマーで単独取材した直後、謎の病に取りつかれ、フィリピンで入院生活を余儀なくされる。全身に耐えがたい激痛が走り、歩くどころか起き上がることも、下の世話も自分ではできないありさまだ。

 で、一流病院の偉い先生の見立ては、再発性ヘルペスだという。ところがどっこい、帰国して都内の大学病院にかつぎこまれ、再検査したところ、まったく違う病気であることが判明する。つまりフィリピンでの治療は、誤診に基づいて行われていたというわけだ。やれやれ。ここでさらなる問題が発生する。

 大手損保会社に保険金を請求すると、なんと誤診による治療は本来必要のないものだから、その費用は払わないというではないか。そんな殺生な、誤診は私の責任なのか?!

 この話を海外で暮らす日本人にしてみたところ、皆さん、口を揃(そろ)えてこういう。

 医療レベルの高くない途上国で、医者の誤診は日常茶飯事である。誤診は患者の責任ではないのに、保険会社が支払いに応じないなんて不当な不払いではないのか。これではおちおち保険に入れない――だから、この私が事実関係を調査・究明すべきだというのだ。

 即行、損保会社に連絡して、私が物書きであること、この一件を記事にしたい旨をきちんと伝える。

 すると数日後ちゃんとした説明もなく、損保会社から誤診分の費用も支払うという連絡が来た。

 これって私が作家だから、面倒なことにしたくないから、特例として保険金を支払うということでは? 一般の加入者が相手だったら、支払わないケースなのかも。

 看過できない問題だし、保険の契約者のためにも、取材を続けるべきだと思うのだが――。

 ★メモ 厚真町生まれ。苫小牧工業高等専門学校、慶應義塾大学卒。小説、随筆などで活躍中。「樹海旅団」など著書多数。「ナンミン・ロード」は映画化、「トウキョウ・バグ」は大藪春彦賞の最終候補。浅野温子主演の舞台「悪戦」では原作を書き、苫高専時代の同期生で脚本家・演出家の水谷龍二とコラボした。

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